技の解説 · 横捨身技

跳巻込講道館とIJFの定義、跳腰・払巻込との違い、級・段での位置づけと少年の競技規則

跳巻込(はねまきこみ)を講道館とIJFの定義から解説。跳腰から巻き込んで投げる横捨身技で、五教の第四教に入る技であること、跳腰・払巻込・内股巻込・大外巻込・外巻込との定義の違い、各国の級・段の審査での位置づけ、IJFの規程と日本・イギリス・カナダ・フランスの少年向けの規定での巻込技の扱い、巻込技を練習するときの安全を出典付きでまとめます。掛け方の手順は扱いません。

正式表記
跳巻込
分類
投技 · 横捨身技

跳巻込とは

跳巻込(はねまきこみ)は、講道館の分類で投技のうち横捨身技に入る技です。横捨身技16本の3番目に置かれています。講道館は跳巻込を「跳腰を掛け、右腕で相手の右腕を腋に抱え、巻き込んで投げる技」と定義しています。立技の跳腰から入り、取が自分の体を捨てて受を巻き込む技です(第3節)。

講道館の五教の技では第四教に入り、投の形には入っていません(第3節)。

左右と役割の約束

  • 取(とり)は技を掛けて投げる人、受(うけ)は投げられる人です。
  • 講道館の定義は右技の左右で書かれています。最初に掛けるのは取の跳腰、抱えるのは取の右腕、抱えられるのは受の右腕です。
  • IJF(国際柔道連盟)の技の説明は、右側での実演にもとづいて書かれています。IJFの説明で離すのは取の右手、体を捻る向きは左です。
  • 講道館の昇段試験用テキストは、技の解説を基本的に右自然体、必要に応じて右自護体で組んだ場合を想定して書くとしています。本記事もこの左右で書きます。

本記事は、跳巻込がどう定義されているか、もとになる跳腰やほかの巻込技とどう書き分けられているか、級・段の審査と競技規則でどう扱われているか、巻込技を練習するときにどんな安全上の注意が示されているかをまとめます。

参考動画

KODOKAN(講道館公式YouTube)「跳巻込 / Hane-makikomi」
YouTubeで開く

動きのイメージをつかむための参考動画です。

講道館の公式動画

  • 「跳巻込 / Hane-makikomi」:講道館の公式YouTubeチャンネルの動画です。概要欄によると、講道館とIJFアカデミーによる「100の技」の横捨身技の一本です。講道館の技名称一覧の跳巻込の項からも、この動画へリンクされています。

IJFのページ

  • IJFの技ページ「hane-makikomi 跳巻込」:IJFによる跳巻込の説明文(第3節)と動画が置かれ、3Dアニメーションのページもあります。

横捨身技の分類の動画

  • 「横捨身技 / Yoko-sutemi-waza」:講道館の「100の技」の、横捨身技の分類の動画です。講道館の技名称一覧の横捨身技の見出しからリンクされています。

もとになる跳腰と、定義のよく似た払巻込の講道館の動画は、第4節で紹介します。

定義と分類

講道館の定義

講道館は跳巻込を次のように定義しています。

跳腰を掛け、右腕で相手の右腕を腋に抱え、巻き込んで投げる技

定義の中の動作を、誰の体のことかに分けると次のとおりです。

  • 跳腰を掛けるのは、取です。
  • 抱えるのは取の右腕で、抱えられるのは受の右腕です。誰の腋に抱えるかは、日本語の定義には書かれていません。講道館の英語の定義は「右の腋に」と側を書いていますが、誰の腋かは書いていません。
  • 巻き込まれて投げられるのは、受です。

IJFの説明

IJFは技ページで、跳巻込を次のように説明しています(編集部訳)。

捨身技。跳腰を試みた後、右手を離して外側に置きながら体を左へ捻り、それによって相手の体を自分に巻きつけ、前へ畳に倒れ込みながら相手を伴って投げる。

この説明は取に向けて書かれています。跳腰を試みるのは取です。離すのは取の右手で、その手を「外側に」置きます。何の外側かは書かれておらず、右手がそれまでどこを握っていたかも書かれていません。左へ捻るのは取の体です。巻きつけられるのは受の体で、巻きつく先は取の体です。前へ畳に倒れ込むのは取で、受は取に伴われて投げられます。

二つの文の関係

講道館の定義とIJFの説明は、次の三つで同じことを書いています。

  • 跳腰が先にあること。
  • 取の右側の腕と手が働くこと。
  • 受を取に巻きつけて投げること。

ほかの点は、それぞれが別の面を書いています。講道館は取の右腕が受の右腕を腋に抱えた状態を書き、IJFは取が右手を離して外側に置く動きを書いています。体を左へ捻ること、取が前へ倒れ込むことを書いているのはIJFだけです。出発点の言い方も、講道館は跳腰を「掛け」、IJFは跳腰を「試みた後」と違い、跳腰が効いた後に巻き込むのか、途中で巻き込むのかはどちらにも書かれていません。本記事は二つの文をつないで一つの手順にはせず、それぞれの言葉のまま紹介します。

跳巻込は跳腰から入る技なので、跳腰そのものの掛け方は跳腰の記事で確かめてください。取が体を捨てて受を巻き込む技であることから、少年の試合の規則や練習の段階には、巻込技・捨身技としての扱いがあります(第6節・第7節)。

分類上の位置

  • 講道館の分類では、投技は立技と捨身技に分かれ、捨身技はさらに真捨身技と横捨身技に分かれます。跳巻込は横捨身技の3番目です。
  • IJFは横捨身技を、投げる途中で取が右か左へ倒れて体を「捨てる」投技の分類と説明し、2017年4月1日から講道館の分類の横捨身技は16本だとしています。IJFのスポーツ・組織規程の技名一覧でも、跳巻込は横捨身技の3番目に載っています(第6節)。
  • 大正9年改正の五教の技では、第四教(隅返、谷落、跳巻込、掬投、移腰、大車、外巻込、浮落)に入っています。明治28年制定の旧五教の技には入っていません。
  • 講道館の投の形の横捨身技は、横掛・横車・浮技です。跳巻込は投の形に入っていません。

近い技との違い

講道館の定義の違い

跳巻込と、もとになる跳腰、ほかの巻込技を、講道館の定義で比べます。

技講道館の定義跳巻込との違い
跳巻込跳腰を掛け、右腕で相手の右腕を腋に抱え、巻き込んで投げる—
払巻込払腰を掛け、右腕で相手の右腕を腋に抱え、巻き込んで投げるもとになる技が払腰
内股巻込内股を掛け、右腕で相手の右腕を腋に抱え、巻き込んで投げるもとになる技が内股
大外巻込大外刈を掛け、右腕で相手の右腕を腋に抱え、巻き込んで投げるもとになる技が大外刈
外巻込相手を前方に崩し、右腕で相手の右腕を腋に抱え、腰を深く入れ、巻き込んで投げるもとになる技がなく、崩しから入る。取が腰を深く入れる
跳腰相手を前方に崩し、右後ろ腰と右脚で跳ね上げて投げる立技の腰技。取は体を捨てない

払巻込・内股巻込・大外巻込と跳巻込の定義は、「右腕で相手の右腕を腋に抱え、巻き込んで投げる」の部分が同じ言葉です。名前を分けているのは、最初に掛けるもとの技です。

IJFの説明では、払巻込は取が受の右腕を腋に抱えると書き、跳巻込は取が右手を離して外側に置くと書いていて、言い方が違います。これはIJFの二つの説明の書き方の違いで、講道館の定義と食い違うものではありません。

講道館の公式動画には、跳腰と払巻込の「100の技」の動画もあります。

  • 「跳腰 / Hane-goshi」:講道館の「100の技」の、腰技の跳腰の動画です。
  • 「払巻込 / Harai-makikomi」:講道館の「100の技」の、横捨身技の払巻込の動画です。

動作の構造による分類の研究

投技を動作の構造で分類した1999年の研究は、捨身技を三つの類型に分け、跳巻込を払巻込・大外巻込・外巻込・内巻込・内股巻込とともに、体が倒れる方向が取の正面方向になる「回転・正面方向」の群に入れています。理論上の分類で、講道館の分類を変えるものでも、掛け方の手順を示したものでもありません。

級・段での位置づけ

日本

  • 講道館の昇段試験用テキストの技の一覧には、跳巻込は載っていません。この一覧には巻込技が一つも載っていません。
  • 文部科学省の『柔道指導の手引』では、2013年の三訂版は巻末の技名称の表に、旧版の二訂版(2007年)は巻末の技名称一覧と五教の表に、跳巻込の名前が載っているだけです。

海外の連盟

各国の連盟の審査の資料では、跳巻込は次の段階に挙がっています。

国段階扱い
カナダ初段の審査カナダ柔道連盟の全国審査課程(2021年)について、ブリティッシュコロンビア州の連盟の審査委員会が作った参照表で、初段の審査の技
ドイツ1〜3段連盟の技の区分表(2022年、暫定版)で、1〜3段で学ぶ技の群に入る
イタリア3段の審査五教の第4グループの巻込技(跳巻込・外巻込)として
スペイン3段の審査投技の表に載るが、赤字の技で、審査では説明だけを求め、実技は行わない

ドイツの連盟の現行の級審査の要件(2025年)、オーストリアの連盟の級審査の教本、イギリスの連盟の級とモン(年少者の段階)の審査表、フランスの連盟の1〜3段の技表と帯別のプログラム、ロシアの連盟の級位の技表には、跳巻込の名前はありません。ドイツの連盟は、級の基本プログラムでは五教の技の順序にならって、まだ捨身技を教えないとしています。

競技規則での扱い

跳巻込を名指しして禁止・制限している規則は、確認した範囲では見つかりませんでした。ただし、日本の少年の規程は「無理な巻き込み技」を指導の対象にしており、イギリス・カナダ・フランスの連盟は、一部の区分の試合で巻込技を含む捨身技を群として認めていません。どれも跳巻込という技名で決めたものではなく、対象の区分も国ごとに違います。

IJFの規程(スポーツ・組織規程、2026年7月24日版)

  • 規程が跳巻込を名指ししているのは、技名一覧だけです(横捨身技の3番)。IJFの大会で認められない講道館の技(河津掛・蟹挟・胴絞・足緘)には入っていません。IJFの技ページでも、跳巻込は禁止の技として扱われていません。
  • 一本は、講道館の分類技(認められた変化を含む、2017年4月1日版)に含まれる技として特定できることが前提です。得点については次の規定があります(第14条、編集部訳)。

> 試合の中で、明確な技を施さずに、ただ着地して転がったり、横向きや仰向けに倒れたりするだけでは、得点に足りない。

  • 頭から突っ込む投げ(ヘッドダイビング)は危険な技として反則負けです(第18.2.1条)。条文が例に挙げるのは内股・払腰・背負投・体落・肩車・釣腰などで、跳巻込や巻込技の名前はありません。
  • 返し技の側は、着地の衝撃を利用して返し技を完成させても評価されません。両者が、どちらも明らかに制していない形で一緒に着地した場合は得点になりません(映像による判定の確認を定めた条文の中の、返し技の規定)。
  • 15歳未満の選手は、IJFの公式大会に出場できません(第2.3条)。子どもの試合での制限は、各国の規定によります。

日本の中学生以下の試合

全日本柔道連盟の少年大会試合審判規程(2026年4月1日施行)は、中学生以下の試合を、IJFの規程に則り、安全面を考慮して本規程を加えて行うとしています。日本武道館の全日本少年少女武道(柔道)錬成大会も、同じ禁止事項と附則を使っています。

  • 禁止事項(指導)の1-④は「無理な巻き込み技を施すこと。」です。
  • 附則④は「無理な巻き込み」を、次のように定めています。

> 「無理な巻き込み」とは、軸足のバネを利かすことなく、体を利用して倒れ込むようにして巻き込んだ技をいう。技が崩れた結果である場合は反則としない。

  • 禁止事項と附則に、跳巻込の名前はありません。指導の対象は「無理な巻き込み」で、巻込技そのものではありません。附則は技の名前ではなく掛け方で定めているので、跳巻込という名前だけで当たるかどうかは決まりません。

イギリスの年少・初心者の試合

イギリスの柔道連盟(BJA)は、年少・初心者向けの技術制限の2026年改訂(2026年7月6日施行)で、巻込を例に挙げて捨身技を禁じています(編集部訳)。

1.5 捨身技の禁止:取は捨身技を施してはならない。これには、巴投、隅返、浮技、横落、谷落、裏投、巻込などの技が含まれる。注:取が立ったままでいる後方への持ち上げ技は認められ、後腰などの技を施すことができる。

跳巻込の名前はなく、「巻込」という群の言葉で含まれます。対象は次の三つのカテゴリーで(編集部訳)、これ以外のカテゴリーには技術制限は適用されません。

学校の4〜7年生(段級を問わず)。スコットランドのP5・P6・P7・S1。12歳未満のすべてのカテゴリー(段級を問わず)。16歳未満のすべてのカテゴリーのうち、黄帯以下。

制限された行為をした場合、1回目は罰則なしで説明を受け、その後は同じ行為でも別の行為でも指導になります。

BJAは制限の理由のうち安全面で、次のように書いています(編集部訳)。

幼い子どもは体に比べて頭が重く、首の筋肉が発達しておらず、成長板がもろいため、裏投や巻込の力を受け止める体の力が弱く、脊椎の圧迫、脳しんとう、肋骨の骨折、鎖骨の骨折の危険が高い。

これはBJAの主張で、文書の中に数値や出典は示されていません。

カナダの年少者の試合

カナダ柔道連盟の大会規程(2026–2027年版)は、次の区分(生まれ年は2026/27シーズンのもの)で「すべての捨身技と巻込技」を禁じています。跳巻込の名前は書かれていません。

  • U8(2020年以降生まれ)・U10(2018〜2019年生まれ)・U12(2016〜2017年生まれ):すべての段級。
  • U14(2014〜2015年生まれ):Novice の区分(黄帯・橙帯)。

U12とU14のNoviceでは、巻込や捨身として始まった動作は得点にすべきでなく、認められた技で始まり、相手の反応で巻込技になった動作は得点にすべきだ、とも定めています。

U8では、連盟公認の大会では正式な判定のない「柔道フェスティバル」の形式が推奨され、黄帯以上が立技から始める乱取は判定しません。クラブ内では、形式を変えた試合が認められます。

年齢は、シーズンの2年目の12月31日時点で数えます。大会責任者の判断で使える、隣り合う2年の生まれをまとめた区分(U9・U11)は、U9がU10の規則、U11がU12の規則に従います。

フランスの大会

フランスの柔道連盟(FFJDA)の2026–2027年シーズンの大会規程(IJFの規程へのフランスでの教育的な適用、2026年9月1日適用)は、「sutemi と makikomi」を認めない範囲を、同じ文書の中で二通りに書いています。跳巻込の名前はなく、どちらも群としての制限です。

  • 「Sutemi et Makikomi」の項目の頁(2026年9月21日更新)では、sutemi と makikomi は認められません。取は注意を受け、衝撃があっても得点にはならず、繰り返すと指導になります。対象は、benjamins の年齢区分までの大会・催し、青帯までの初心者向けのレジャー大会、適応パラ柔道の大会です。
  • 同じ文書の五つの規定をまとめた総括表(2026年9月18日更新)では、「Sutemi et Makikomi non autorisés(認めない)」の行に、上の三つの対象に加えて「Grades / Cadets」の欄にも印が付いています。この欄は、文書のほかの項目の頁では、「Compétitions de grade」と書かれた大会と、全国1部選手権を除くカデットの大会に当たります。

二つの頁のどちらに従うかを、文書は示していません。この規程は、カデット・ジュニア・シニアの個人選手権(1部)など、いくつかの全国大会には適用されません。

ここに挙げた制限は、それぞれの国の連盟の規定で、他の国の少年の試合にそのまま当てはまるものではありません。出場する大会の規定を確認し、扱いが分からない場合は大会の審判・主催者に確かめてください。

練習の段階と安全

この節の段階と注意は、巻込技・捨身技一般、または投げ技一般についてのもので、跳巻込を名指ししたものではありません。

巻き込みの危険についての指導

全日本柔道連盟の『柔道の安全指導』は、巻き込みについて次のように書いています。

  • 頭部の重大事故を防ぐには、「受け身の習得、段階的練習、体格差への配慮、無理な巻き込みや倒れ込みを行わないことなどが重要である」。
  • 経験者でも、巻き込みなどで受身をとれずに強い衝撃で乗られた場合などには、単なる投げ込みでも死亡事故が起こることがある。
  • 「大外刈りなど後方への技、巻き込みや膝つきの低い背負い投げなど受け身のとりにくい技で投げられることは、たとえ投げ込みであっても非常に危険です」。
  • 「鎖骨の骨折や肩鎖関節の脱臼などの多くは、巻き込まれて肩から落ちた際に発生する」。巻き込みなど強い外力による事故では、同時に頭部や頚部にも重大なけがをしている可能性がある。

子ども向けの冊子では、体の小さい相手との稽古について、「小さい相手を無理に巻き込んだりすることは絶対にやめましょう」「無理に巻き込んだり、倒れ込んだりすることはとても危険です」と呼びかけています。

研究では、大外巻込と払巻込を少人数(受3人、取1人)で測った1985年の報告が、巻込技では受が腕で衝撃を和らげにくく、体に及ぶ衝撃が大きくなったとしています。跳巻込は測られていません。肩・肘のけがについての2019年の総説も、相手に巻き込まれるように投げられることが肩のけがのリスクを高めると考えられているとし、小中学生の選手と指導者に巻き込み技の危険性を継続して伝える必要があると述べています。

頭から突っ込まない

文部科学省の『柔道指導の手引』(三訂版)は、跳ね腰の安全指導のポイントとして「前屈して、頭から畳に突っ込む姿勢で技をかけない」としています。跳巻込は跳腰から入る技です。IJFの規程の頭から突っ込む投げの反則負けは、第6節のとおりです。

練習の段階

全日本柔道連盟の「柔道練習ステップ」では、ステップ2(投げ込みレベル)の投げ技の目標が「その場で投げることができる。(捨て身技を除く)」で、同じ欄に「同体で倒れない、巻き込まない、頭を突っ込まない等」が挙がっています。捨身技で投げられたときの受身は、ステップ3(乱取りレベル)の受身の目標「返し技や捨て身技等で投げられても受け身ができる」に置かれています。

講道館は2024年の年頭所感で、払巻込のように自らの体を捨てて相手を巻き込んで倒れる技を例に挙げ、「こういった技の稽古は、掛ける側よりもむしろ受ける側の力量が重要になります」とし、少年や初心者が熟練者と同じ技・同じ掛け方をしてよいわけがない、「技にも学ぶ順序があります」と述べています。

学校の授業について、文部科学省の『柔道指導の手引』の現行の三訂版(2013年)は、取が軸足一本で立っている状態で技を施したり、捨て身で技をかけたりする場合は安定性を欠くことになる、としています。捨身技は「安全面を考慮して自由練習などの実際の攻防ではなく、形として、巴投げ、浮き技などの自分の身を捨て(倒れ)ながら相手を投げる技術を体験させるなどの工夫が考えられます」としています。2007年の旧版(二訂版)は、捨身技の扱いを次のように書いていました。

捨て身技は,高等学校で初めて取り扱う学習内容であるが,基本動作や他の投げ技に習熟してから取り扱うようにする。初歩的な段階の生徒が自由練習(乱取り)でこの技を用いると危険を伴うことがあるので,崩しや体さばきなどを身に付けるための技として,約束練習で取り扱うことにとどめる方がよい。ただし,技能が習熟してきた場合には,自由練習(乱取り)などで取り扱ってもよい。

以下の順序は編集部の提案です。回数や期間で区切らず、指導者が取と受の様子を確かめて進めてください。

  1. 跳腰とほかの投げ技、受身に慣れる:跳巻込は跳腰から入る技です。まず跳腰を、頭から突っ込まずに掛けられるようにします。受については、捨身技で投げられても受身をとれる段階(上のステップ3)に達しているかを確かめます。
  2. 受の力量と体格差を確かめる:巻込技の稽古は受ける側の力量が重要です。受が捨身技で投げられても受身をとれるかを確かめ、体の小さい相手を無理に巻き込まないようにします。
  3. 大会の規則を確かめる:試合で使う前に、出場する大会の年少者の制限を確かめます(第6節)。

出典

本文で説明した内容の出典を、節ごとにまとめます。確認日はいずれも2026年10月23日です。スペインの柔道連盟の規程は、同じ発行元のURLから2026年10月20日に取得されたファイルで読み、2026年10月23日に発行元のサイトの現行ファイルと同一であることを確認しました。文部科学省『柔道指導の手引(二訂版)』(2007年)は、三訂版(2013年)で改訂された旧版です。

第1節 跳巻込とは

第2節 参考動画

  • 動画の公開元・題名・概要欄の記載:下の「参考動画」の各ページ。いずれも再生しての内容確認はしていません。
  • 講道館の技名称一覧から動画へのリンク:講道館「柔道 技名称一覧」(上記)
  • IJFの技ページの説明文・動画・3Dアニメーション:International Judo Federation「hane-makikomi 跳巻込」 https://judo.ijf.org/techniques/hane-makikomi

第3節 定義と分類

  • 講道館の定義、五教の第四教、旧五教に入らないこと:講道館「柔道 技名称一覧」(上記)
  • 講道館の英語の定義(右の腋に抱える):Kodokan「Names of Judo Techniques」 https://kdkjudo.org/en/techniques/names-of-judo-techniques/ 、Kodokan「Kodokan Definitions of Judo Techniques 01.10.2022」PDF p.4 https://kdkjudo.org/wp-content/uploads/2024/07/Kodokan-Definitions-of-Judo-Techniques-01.10.2022.pdf
  • IJFの説明、横捨身技の分類の説明と16本:International Judo Federation「hane-makikomi 跳巻込」(上記)
  • 投技・捨身技の区分:講道館『昇段試験用テキスト「講道館柔道」』(上記)p.23
  • IJFの技名一覧(横捨身技の3番):第6節のIJF規程 PDF p.252
  • 投の形の構成:講道館『昇段試験用テキスト「講道館柔道」』(上記)p.39–40

第4節 近い技との違い

  • 払巻込・内股巻込・大外巻込・外巻込・跳腰の定義:講道館「柔道 技名称一覧」(上記)
  • IJFの払巻込の説明(受の右腕を腋に抱える):IJF Academy Basic Level 1「IJF/KODOKAN CLASSIFICATION OF JUDO」(上記)PDF p.14–15
  • 動作の構造による分類(「回転・正面方向」の群):三戸範之・神谷忠昭「運動構造を基準とする柔道投技の分類に関する研究」スポーツ運動学研究 12: 105–115, 1999(p.113 図8「運動構造による捨身技の分類」) https://doi.org/10.32261/bewegungslehre.12.0_105

第5節 級・段での位置づけ

第6節 競技規則での扱い

第7節 練習の段階と安全

参考動画

講道館

IJF