01 / 技の概要
脚と腰の支配で作る、腕を伸ばす関節技
腕挫十字固(うでひしぎじゅうじがため)は、略して十字固とも呼ばれる、腕を十字に極める関節技です。講道館は、固技の中の関節技に分類しています。IJFの定義は次のとおりです。「相手の右側から、両手で相手の右手首を持ち、相手の右上腕を両腿の間に挟み、肘を関節に逆らって小指の方向へ伸ばして制する」。それぞれの句が制御点を示しています。手首、上腕、両腿、そして定められた伸ばす方向です。
IJFの英語表記は「cross lock」です。「十字」については、取の体が受を横切るように乗り、受の腕が取の体に沿って伸びる形を「十」の字に見立てたものだとよく説明されます。これは一般的な指導上のイメージで、定義の一部ではありません。定義がはっきり定めているのは標的、つまり肘関節です。十字固は肩をねじる技でも、手首の関節技でも、首への攻撃でもありません。肘以外の場所に圧力が掛かるなら、さらに押し込むのではなく、位置を作り直す必要があります。
目にする呼び名:十字固、腕十字、英語では「cross lock」「cross armlock」などがあります。英語の「armbar」は腕挫腕固など他の柔道の関節技も含む言葉なので、それだけではこの技を特定できません。
このガイドの対象:すでに監督下で寝技を練習し、指導者からこの関節技を教わったことのある柔道家です。最初の一回目の指導用ではありません。安全と参加資格についての決まりは、第4項の最後にまとめて記載しています。
02 / 動画で確認
まず公式の形、次に入り方の一例
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これは講道館とIJFアカデミーによる公式実演です。動画の同一性、公開元、長さは確認していますが、コマ送りでの分析はしていないため、このページでは実演者の体の置き方を記述しません。次の問いを持って見てください。
- 脚が落ち着いた瞬間、取の腰は受の肩に対してどこにあるか。近いか、隙間があるか。
- 取の両手は何を持っているか。挟む段階と伸ばす段階で、持ち方は変わるか。
- 腕が伸びるとき、受の親指はどちらを向いているか。IJFの「小指の方向へ」という表現と比べる。
- 伸ばす速さは、入りと比べてどうか。落ち着いた極め方こそ、まねるべき速さです。
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題名から判断すると、この映像は技全体ではなく、回転して入る一つの入り方を示しています。確認しているのは題名、公開元、長さだけです。問いは一つです。回転の途中で、取が初めて両手で腕を制するのはどの瞬間か。両腿が閉じるのはどの瞬間か。脚を振る前に両手が腕を確保していれば、回転は支配を保ったまま関節技へ運ぶ方法になります。振る間に腕が自由なら、その入り方は受が反応しないことを当てにしています。回転する入り方は、まず静止した状態から教わります。
03 / 狙う場面
機会は、すでに制している伸びた腕、または伸ばせる腕
十字固が使えるのは、受の片腕が体から離れ、手首で孤立させることができ、しかも取の腰をその肩に近づけられるときです。機会が本物かどうかは、三つの問いで決まります。両手で手首を持てるか。腰が肩まで届くか。受が自分の方へ向くのを脚で止められるか。一つでも「いいえ」なら、腕がどれほど伸びて見えても、まだ関節技は使えません。
受が抑込技から逃れようと押してくる
横四方固や袈裟固の下にいる人は、空間を作るために前腕や手で取の首、肩、腰を押すことがよくあります。この支えの腕は伸びていて、取の近くにあります。取が受の右側にいるときに受の右腕が押してくれば、その腕はすでにIJFの定義が示す側にあります。機会があるのは、抑えによって受がまだ仰向けに保たれている間だけです。受が横向きになってしまえば、肩はもう取の下で抑えられていません。
受が馬乗りの抑えの下から押し上げる
縦四方固で、下の人が両腕を伸ばして胸を押し上げると、取の前に腕が差し出されます。一方の腕を極めるために横へ移れば、馬乗りの位置は手放すことになります。決め手となる観察は、腰を一方の肩へ移す間も、体重を受の胸に残せるかどうかです。受の腰がすでに自由に回れるなら、馬乗りの位置を保ちます。
関節技が使えないとき
受がすでに取の方へ向いている、取の脚が挟まれている、あるいは腕を引っ張らなければ伸ばせない場合は、この関節技を試みないでください。肘が脇腹にしっかり付いているなら、どの関節技にも向きません。抑えを保ちます。肘の下に空間があり曲がった腕、典型的には横からの抑えの下から取の頭を押してくる受の遠い腕は、腕緘の機会です。腕緘は肘を伸ばすのではなく、曲がった肘をひねって極めます。四つんばいやうつ伏せの受に対する入り方は、別の指導が必要で、このガイドの範囲外です。
04 / 技の仕組み
制し、合わせ、ゆっくり伸ばす
三つの段階があります。制御(両手、両腿、腰、脚で腕と受の体を固定する)、位置合わせ(肩ではなく肘関節が力の線に乗る)、伸展(いつでも止められるゆっくりとした伸ばし)です。よくある誤りは、最初の二つができる前に三つ目を始めることです。
定義で決まっていることと、そうでないこと:IJFの定義が定めているのは四点です。取は受の右側から行う、両手で受の右手首を持つ、受の右上腕を取の両腿の間に挟む、肘を関節に逆らって小指側へ伸ばす。以下のそれ以外の点(腰の距離、脚の置き方、手首を胸に付けること、腰を上げるかどうか)は一般に教えられている細部であり、指導者と一緒に講道館の実演と照らし合わせて確認してください。
両手で右手首を持つ
IJFの定義どおり、両手で受の右手首を持ちます。多くの指導者は、手が引っ張るのではなく方向を操れるよう、手首を取の胸の近くに保つよう教えます。指や手のひらではなく手首を持ってください。手を曲げることはこの技の一部ではありません。確認:受が前腕を回そうとしたとき、両手で止められるか。手首が自由に回るなら、圧力の線も一緒に回ってしまいます。
上腕を両腿の間に挟む
受の右上腕を取の両腿の間に置き、両膝を互いに寄せるように締めます。手は前腕の向きを操り、両腿は上腕を保持します。確認:一瞬手を緩めたとき、受が肘を脚の間から畳の方へ滑らせられるか。滑らせられるなら、両腿が開いているか、肩から離れて肘の方へ寄りすぎています。
腰を肩に密着させる
定義は取の腰の位置を定めていませんが、両腿で上腕を保持できるのは、尻が受の右肩に近いときだけです。隙間があると、受は肘を自分の体の方へ引き戻して曲げられます。確認:横から見て、自分の尻と受の肩の間に見える隙間があるか。実演の形でどれだけ近く座っているかは、数値ではなく指導者に尋ねるべき問題です。
脚を胴体と頭のあたりに掛ける
一方の脚を受の胴体の上に、もう一方を受の上胸部から頭のあたりに掛け、受を仰向けに保ちます。脚は、肘が逃げる主な二つの方法である、受が起き上がることと取の方へ向くことを止めます。かかとやふくらはぎで喉を圧迫したり、首をねじったりしてはいけません。正確な脚の位置は指導者に確認してください。確認:受が小さく起き上がろうとしたり取の方へ向こうとしたりしたとき、手でさらに強くつかまなくても、該当する脚がそれを吸収できるか。
肘を支点に合わせる
IJFの表現は「肘を関節に逆らって小指の方向へ伸ばす」です。一般的な指導上の解釈では、受の肘が支点となる取の腰に当たり、手首の向きを整えることで、伸展が肘関節を横切って小指側へ働くようにします。正確な手首の向きは指導者が決めます。肘がその接点より上や下にある場合、あるいは手首が回る場合は、負荷が肩へずれるか、腕が抜けてしまいます。確認:ごくわずかに伸ばした段階で、受は最初の感覚がどこに現れたかを伝えます。肘以外なら、止めて位置を合わせ直します。
腰でゆっくり伸ばす
伸展は、手首を胸に付けたまま徐々に後ろへ倒れ、指導者が教える場合は腰を少し上げることで生まれます。手で腕を急に引いたり、背中を畳へ落としたりして作るものではありません。確認:指導者は取自身の肘を見ます。受の腕と一緒に取の肘も伸びるなら、手が保持ではなく引っ張りになっています。受の腕が一つの動きで可動域の限界に達するなら、速すぎます。
解き方も技術の一部
参った(タップ)、声での「止め」、痛みの兆候があれば、まず腰を下ろし、後ろへ倒れるのをやめます。次に腕が曲がるのを許し、それから手を緩めて両腿を開きます。腰を上げたまま手を離すと、腕に負荷が残ることがあります。協力的な反復も含め、毎回この解き方を練習してください。
05 / 上達のポイント
到達する順序についての五つのポイント
第4項では、それぞれの制御点を静止した状態で確認しました。ここでのポイントは、各部分が到達する順序を確かめるものです。十字固の反復が崩れるのは、多くの場合この順序です。1セットにつき一つのポイントを使ってください。どれも肘に圧力を掛ける必要はありません。
振る前に手首
どちらかの脚が土台を離れる前に、両手が受の右手首にあるようにします。確認:見ている人は二つのことだけを見ます。二本目の手が手首に届く瞬間と、頭側の足が浮く瞬間です。どちらが先だったかを伝えてもらいます。
振る前に腰を寄せる
腰が受の右肩まで移動してから、頭側の脚を越えさせます。確認:両脚が着いた後に、尻を何回ずらしたかを数えます。ずらすたびに肘を引き抜かれる瞬間が生まれます。目標はゼロ回です。
背中を倒す前に脚を重くする
後ろへ倒れ始める前に、脚の重さを受の胴体と頭のあたりに落ち着かせます。確認:後ろへ倒れ始めた最初の瞬間に、受の右の肩甲骨を見ます。畳から浮くなら、脚が働く前に倒れています。
圧力ゼロの段階で手首の線を整える
伸ばし始める前に、受の手首の向きが、指導者が小指側の線として設定した向きになっているようにします。確認:後ろへ倒れる前に、指導者が受の親指を見ます。入る途中で手首が回っていたら、回った腕のまま伸ばさず、持ち直します。
練習した順序で解く
腰を下ろして倒れるのをやめ、腕が曲がるのを許し、手を緩め、両腿を開きます。確認:指導者の「解け」の声で、手が開く前に尻が下りているか。手が先なら、腕にまだ負荷が残っているかもしれません。
1セットの中で同じポイントが2回うまくいかなければ、制御だけの反復(第10項の第1段階)に戻ります。伸展の問題の多くは、遅れて表に出た制御の問題です。
06 / 失敗の原因と修正
腕が逃げる理由、関節技がうまくいかない理由
最終的な結果ではなく、最初に起きた意図しない動きから原因を探ります。以下の各項目は、指導者と一緒に確かめるべき仮説です。
「伸ばす前に、受に肘を引き抜かれる」
考えられる原因:腰が肩まで届いていない。両膝が開いていた。あるいは手が手首から離れた前腕の部分を持っていて、受が肘を曲げられた。
見分け方:脚が着いた瞬間で止めます。肩に隙間があれば腰の距離が、肘が両腿の間を滑るなら膝の締めが、上腕は挟まれたまま肘が曲がるなら手の位置が問題だと考えられます。
修正:頭側の脚を振る前に、尻を肩まで移動させます(ポイント2)。評価:修正の前後で、同じ軽い肘の引き抜きに対してゆっくり5回ずつ入り、肘を挟んだまま保てた回数を数えます。
「受が両手を組み、腕を開けない」
考えられる原因:受の上体全体に対して腕の力だけで引いている。脚で受を平らに保てておらず、受が体を丸めて組み手を強めている。あるいは、取の制御ができる前に受が手を組んでいた。
見分け方:引いたときに受の両肩が畳から浮くかを見ます。浮くなら脚の問題です。受が平らなまま組み手が持ちこたえるなら、力に力で対抗しています。
指導者のために記録すること:組み方の種類です。手と手、手と手首、あるいは受が自分の柔道衣をつかんでいるか。外し方はそれぞれ異なり、このガイドでは特定の方法を指定しません。
修正:脚を重く保ち、指導者がその組み方に対して教える外し方を、ゆっくり練習します。組み手を急に引き剥がしてはいけません。組み手が突然外れると、取の体重が乗ったまま腕が一気に伸び切ることがあります。組み手が外れたら、制御したまま一度止め、それからゆっくり伸ばします。評価:腕が制御された状態で外れたか、受が予告なく可動域の限界に達したことがあったかを記録します。
「受がこちらへ起き上がり、圧力が消える」
考えられる原因:胴体側の脚が軽いか高い位置にある。脚が落ち着く前に後ろへ倒れた。あるいは、取がまだ手首を持とうとしている間に受が起き上がり始めた。
見分け方:頭の側から撮影します。取の脚の下で受の胸が持ち上がるなら、脚が抑えていません。取の脚が届く前に受が起き上がるなら、脚を振るタイミングが遅れています。
修正:後ろへ倒れ始める前に胴体側の脚の重さを落ち着かせ、かかとを浮かせずに重く保ちます。評価:受は1回の反復につき一度ゆっくり起き上がろうとします。脚だけでそれを止められたかを記録します。
「受がこちらへ向き、肘が下を向く」
考えられる原因:頭側の脚が頭と肩のあたりを制していない。腰が受の足の方へ傾いている。あるいは、手が手首の回転を許している。
見分け方:向きを変える動きが頭、肩、手首のどこから始まったかを受に聞きます。頭から始まったなら脚の問題、手首から回ったなら持ち方の問題が考えられます。
修正:特定した原因だけに取り組みます。頭側の脚に体重を乗せるか、両手による手首の制御を確かにするかです。肘が回ってしまった後に伸ばし続けてはいけません。負荷はもう定義が示す線上にありません。評価:受は5回の反復で同じゆっくりとした向き変えを行います。肘が取の腰から外れる方向へ回った回数を数えます。
「受が肘ではなく肩に感じる」
考えられる原因:肘が取の腰に当たらず、その下か上にある。腕を取の体に沿ってではなく、受の体を横切る方向へ引いている。あるいは、腰が肩から離れすぎていて、伸展のてこが肩に働いている。
見分け方:圧力ゼロの状態で、指導者が受の肘に手を当て、取の腰の線と比べます。
修正:止めて解き、手と腰から位置合わせを作り直します。強く引くことで補おうとしてはいけません。評価:次のセットのすべての反復で、ごくわずかに伸ばした段階で受が最初の感覚の場所を伝えます。
「圧力が突然掛かる」「相手の参ったが遅かった」
考えられる原因:背中を一つの動きで畳へ落としている。挟んだ時点で受の腕がほぼ伸びていて、わずかな動きで限界に達する。あるいは、受が合意した最初の感覚で参ったをせず、「耐えよう」としている。
見分け方:挟んでから最初の感覚までの伸展の時間を計ります。非常に短ければ、取の速さか、もともと伸びていた腕が原因と考えられます。時間は普通なのに参ったが遅いなら、二人の間の取り決めに問題があります。
修正:段階ごとに止まりながら後ろへ倒れ、取り決めを改めて確認します。受は痛みではなく、最初のはっきりした感覚で参ったをします。評価:指導者が1セットを見ます。突然限界に達した場面が一度でもあればそのセットを終え、制御だけの反復に戻ります。
07 / 入り方と連絡
相手が差し出す腕についていく
それぞれの道筋は特定の腕を待ち、どこで関節技をあきらめるかも示しています。これらは編集部による練習の型であり、掲載した動画の内容を説明したものではありません。
腕を読む
横四方固から:十字固、腕緘、または抑えを保つ
開始:受の右側からの横四方固。相手の反応は三通り:(a)受の近い(右)腕が伸びて取の腰や肩を押す。(b)受の遠い(左)腕が曲がったまま上がってきて取の頭を押し、肘の下に空間がある。(c)受は近い肘を脇腹にしっかり付けたまま、前腕だけで押す。次の動作:(a)はこのガイドの機会です。胸で受を抑えたまま両手で手首を確保し、それから腰を右肩へ移し、教わったとおりに頭側の脚を振って越えます。両腿が閉じる前に受が膝を戻したり横向きになったりしたら、あきらめて抑えを作り直します。(b)は腕緘のガイドで基準としている機会で、胸を受に付けたまま取り組みます。(c)はどちらの関節技の機会にもなりません。中止・やり直し:(a)(b)(c)のどれかを見極める前に関節技へ動き出している自分に気づいたら、もう一回押されるまで抑えにとどまります。
関節技が失敗した後
十字固から抑込技へ戻る
開始:右腕を両腿の間に挟んでいる。相手の反応:受が起き上がるか取の方へ向き、腕を引き抜いて肘を自由にする。次の動作:背中を畳に着けたまま腕を追いかけてはいけません。受が取の横で仰向けになって終わったなら、横向きに起き上がり、袈裟固か、その位置から指導者に教わった別の抑えにつなぎ直します。中止・やり直し:受が上になった、または膝立ちになったなら、その攻防の課題は変わっています。新しい攻めを即興で始めず、合意した位置の決まりに従います。
投げから関節技へ
制御した投げから、すぐに十字固へ
開始:すでに制御できる投げで受を仰向けに落とし、引き手はまだ受の右袖を持っている。相手の反応:受の右腕が一瞬、取の方へ伸びたままになる。次の動作:もう一方の手を手首へ運び、教わったとおりに頭の周りを回って、腰が肩に届くようにします。中止・やり直し:二本目の手が届く前に受が肘を曲げて向きを変えたら、代わりに抑えに落ち着きます。寝技で練習を続けるかどうかは、事前に取り決めておきます。
試みるたびに、結果のほかに二つの事実を記録します。脚を振る前に両手が手首にあったか、あきらめたときに抑えが保たれたか。この二つの数字が、多くの場合、極まったかどうかを説明してくれます。
08 / 防御と逃れ方
孤立させない、線を守る、早めに参ったをする
十字固に対する防御は、どれも第4項の条件の一つを取り除くものです。孤立した手首、挟まれた上腕、肩に密着した腰、仰向けのままの受、のいずれかです。どの条件を崩そうとしているのかが分かれば、自分が防いでいるのか、逃れているのか、単に時間を稼いでいるだけなのかが分かります。
予防:伸ばした腕を差し出さない
抑込技の下で腕を伸ばして押すと、空間はできますが、同時に腕を差し出すことにもなります。肘を曲げて自分の体の近くに保つ支え方を教わっておけば、孤立させられる部分が少なくなります。
早い段階の防御:肘を体につなげておく
取の両腿が閉じる前なら、多くの場合、肘を脇腹の方へ引き戻したり、両腕を組み合わせたりできます。腕を組むのは広く教えられている防御ですが、解決ではなく時間稼ぎです。取が組み手を外そうとしている間に、向きを変えたり起き上がったりする時間を作るものです。
逃れ:腕が伸びる前に線を変える
逃れは第4項の条件に働きかけます。取の方へ起き上がれば尻と肩の接触がなくなり、取の方へ向けば肘が腰から外れます。どちらも腕がまだ曲がっていることが前提です。肘が腰の上で伸ばされてしまったら、正しい対応は参ったをすることです。
取が返し技を受ける危険
取が脚の緩いまま後ろへ倒れると、受が起き上がりに成功して上になることがあります。その場合の取の答えは、第7項の抑えに戻る道筋です。
09 / 抑込技からの移行
どの抑えから、どの腕が出てくるか
十字固に至るのは、崩れ始めた抑え込みからであることが最も多いものです。この学習用の図は、伸ばせる腕が現れやすい場所と、切り替えの間も抑えが保たなければならないことを示しています。入り方を網羅した一覧ではありません。
| 開始する抑え | 伸びることがある腕 | 切り替えの間も制し続けるべきもの |
|---|---|---|
| 横四方固 | 取の肩、首、腰を押す受の近い腕 | 手首を確保するまでの胸の圧力。受に膝を戻させないため |
| 袈裟固 | 取の顔や肩を押す受の遠い腕(近い腕はすでに取の腕の下で制している) | 頭側の支配と土台。起き上がる間に受のブリッジで返されないため |
| 崩袈裟固 | 取の胴体に対して支えを作る遠い腕 | 位置を変える間の近い腕の支配 |
| 縦四方固 | 取の胸を押し上げるどちらかの腕 | 馬乗りから肩の横へ移る間の、受の胴体に掛ける体重 |
| 上四方固 | 下から取の腰や肩を押す腕 | 横へ回り込む間の上体の圧力 |
この図のうち二つの行では、左右が入れ替わります。受の右側からの袈裟固と崩袈裟固では、受の右腕はすでに制されているため、押してくるのは通常、受の左腕です。それを極めるには、このガイドの基準を左右反転させた受の左側から行うことになり、そこへ移るために抑えを離れなければなりません。始める前に、どちらの腕に取り組むのかを二人ともが把握しておいてください。
表にない抑え、例えば後袈裟固や崩上四方固にも同じ二つの問いが当てはまります。受のどちらの腕が自由に伸びるか。IJFの形にするには、取の腰が受のどちら側にある必要があるか。答えが、抑えがすでに制している腕を離すことを求めるなら、即興で試す道筋ではなく、指導者に教わるべき道筋として扱います。
関節技の後:次はどの位置か
受が逃れたら、新しい位置を言葉にします。受が取の横で仰向けになっている(抑えを作り直す)、膝立ちになっている(上からの支配か、やり直し)、上になっている(防御する)、のいずれかです。落ち着いた肩固や横四方固からなら、取はすでに正式な技を保っています。その抑えを失う関節技の試みは、反射的にではなく、意図して選ぶべき交換です。
寝技の練習全体の組み方については、寝技の練習ガイドを参照してください。
10 / 段階的な練習
制御だけの練習から、位置限定の攻防へ
指導者が見ている前で基準を満たしたら、次の段階へ進みます。進むかどうかを決めるのは極めた回数ではなく、制御と解き方です。
制御だけの形
受は右腕を伸ばしたまま静かに寝ています。取は両手、両腿、腰、脚を作りますが、伸展は一切しません。受は、軽い肘の引き抜き、起き上がり、向き変えをそれぞれ一回ずつ試します。基準:取が腕を引っ張らなくても、三つとも体の構造で止められること。
最初の合図まで、ゆっくり伸ばす
確認した位置から、取は段階的に伸ばします。受は肘にはっきりした感覚が出た最初の時点で参ったをし、取は解く手順を最後まで行います。指導者は伸ばしている途中で「そのまま」と声を掛け、動きを止めさせることができます。基準:すべての参ったで即座に解けること。受が感じるのは常に肘で、肩ではないこと。
抑えから入り、防御を一つ加える
横四方固から始めます。受が右腕で押し、取が入ります。受は合意した防御を一つ行います。腕を組むか、ゆっくり起き上がるかです。取は制御を保ってゆっくり伸ばすか、あきらめて抑えに戻ります。基準:線を変えた防御に逆らって伸ばすことが一度もなく、あきらめたときは毎回、受を仰向けに保てていること。
選択を伴う位置限定の攻防
合意した抑えから短い攻防を行います。下の人は逃れようとし、上の人は差し出された腕に応じて、抑えを保つ、十字固を試みる、腕緘を試みる、のいずれかを選べます。参ったがあればその攻防は終わり、制御を失った場合も終わります。基準:多くの攻防で、上の人の選択が第7項の三通りの読み(伸びた近い腕なら十字固、空間のある曲がった遠い腕なら腕緘、脇に付いた肘なら抑えを保つ)と一致していること。判断は指導者が行います。
関節技を含む自由な寝技の乱取りは、第4段階の後、指導者が解く習慣を信頼できると判断し、参加資格を確認してから行います。
11 / 試合での実例
二つの公式リプレーの手がかりと、それらから分からないこと
2026年10月10日に、IJFの技ライブラリーの二つの項目を確認しました。どちらもリプレーの手がかりです。その試合がある選手の十字固の一覧に載っているということであり、試合の中で何が起きたかは確認していません。
ケルディヨロワ対ンディアイ、アブダビ世界選手権2024
ケルディヨロワの十字固を集めたIJFのページには、アブダビ世界選手権2024でのディヨラ・ケルディヨロワ(ウズベキスタン、白)とビンタ・ンディアイ(Binta Ndiaye、スイス、青)の試合が、この技のタグで掲載されています。
角田対ホ、バクー・グランドスラム2025
角田夏実の十字固を集めたIJFのページには、バクー・グランドスラム2025での角田夏実(日本、白)とホ・ミオ(Mio Huh、韓国、青)の試合が、同じタグで掲載されています。
確認済み:ページの題名、大会、対戦の組み合わせ、タグ。各ページの題名は、タグ付けされた技をそこに名前のある選手によるものとしています。未確認:得点になったか、再生位置、その前の位置、戦術。私たちは映像を見ていません。
リプレーを見るときの問い
- 起点:関節技の5秒前、二人はどの位置にいたか。抑込技、返し、膝立ちの受、それとも投げから直接か。
- 孤立:取の両手が初めて手首に届いたのはいつか。受はすでに腕を組んで防御していたか。
- 腰の距離:腕が伸びる前に取の尻は肩に密着していたか。それとも後から隙間を詰める必要があったか。
- 防御:受は起き上がろうとしたか、取の方へ向こうとしたか、腕を組み続けたか。それに対して取の脚はどう反応したか。
- 終わり方:審判はどれだけ早く動作を止めたか。取はどれだけ早く解いたか。
カメラに映っていることだけに答え、それ以外は「見えない」と記入します。トップレベルの映像はその大会の規則を反映したもので、自分の区分の規則を示すものではありません。
12 / 変化と似た技
十字固と、その他の肘の関節技
講道館の技名一覧は、いくつかの「腕挫」の関節技を別々の技として挙げています。どれも肘を標的としますが、何で腕を挟むか、何が支点になるかが異なります。
| 技 | 腕の形 | 腕を挟むもの・支点になるもの |
|---|---|---|
| 腕挫十字固 | 伸ばす | 両腿で上腕を挟む(IJF)。一般に取の腰が支点になる |
| 腕緘 | 曲げる | 取の両腕で受の腕を絡め、ひねって肘を制する |
| 腕挫腕固 | 伸ばす | 脚で挟まず、取の手や腕を受の肘に当てる |
| 腕挫膝固 | 伸ばす | 取の膝や脚が肘に働く |
| 腕挫腋固 | 伸ばす | 取の腋の下で腕を挟む |
下の三つの行は、技名と講道館の分類から分かることだけをまとめたものです。練習する前に、それぞれの公式実演で学んでください。
十字固の中の変化
入り方の変化(抑えから、投げから、回転や転がりから始める)は経路を変えますが、行き着く先は同じ制御の確認項目であるべきです。組み手の変化は受が腕を組んだときに現れるもので、指導者から教わります。取が下から始める下からの変化は、土台と逃げられる危険が変わるため、別の指導が必要です。どの変化でも、結果として上腕が両腿の間に挟まれず、肘が腰の上で負荷を受けていないなら、それは別の関節技かもしれません。
13 / 次の練習課題
1回の練習で、肘が逃げる瞬間を見つける
課題:指導者の了承を得て、段階練習の第3段階を行います。横四方固から受の右腕に入り、受はゆっくりした起き上がりと腕を組む防御のどちらかを選びます。伸展はゆっくり行い、最初の参ったで止めます。
- 場面
- 横四方固、受の右側。受は右腕で支えを作る。
- 自分の重点
- 頭側の脚を振る前に、腰を肩に密着させる。
- 気づいたこと
- 脚が落ち着いたとき、自分の尻はどこにあったか。肘は両腿の上に残っていたか。どの防御に破られたか。
- 指導者への質問
- 「腕を失うのは、腰の距離、開いた膝、手首の持ち方のどれが原因ですか」
- 次の判断
- 同じ課題を続けるか、制御だけの形に戻るか、第7項の読みの(b)(曲がった遠い腕)を加えるか。
振り返りの記録例
説明用の架空の例(実測したユーザーデータではありません):「横四方固から8回入った。手首を確保できたのは6回。そのうち3回は、脚が落ち着く前に受の起き上がりで肘が抜けた。指導者からは、脚を先に振って腰を後から動かしていると指摘された。1回は受が向きを変えた後も伸ばし続け、指導者がセットを止めた。次の練習では腰を先に動かし、受が向きを変えたら毎回止まって確認する」。
この記録は、出来事、指導者の解釈、次の変更を分けて書き、安全のための中止も情報として残しています。練習記録テンプレートやJudo AIに保存しておけば、次の練習を新しい技からではなく、腰の距離についての問いから始められます。
14 / 出典とレビュー
出典・執筆・確認状況
- 講道館:柔道の技の名称:正式名称と関節技としての分類。
- IJF:十字固の定義と技ライブラリー:第1項で引用した定義。2026年10月10日に確認。
- 講道館:腕挫十字固の公式実演とEfficient Judo:回転して入る十字固の実演:同一性、公開元、公開日、長さを確認。書き起こしや場面ごとの分析はしていません。
- IJFのリプレー一覧:ケルディヨロワと角田。一覧とタグのみを確認。
執筆:Judo AI · 英語版編集確認:2026年10月10日(同日に独立した編集確認も実施) · 日本語版編集確認:2026年10月15日。制御点はIJFの定義に基づいています。腰の距離、脚の置き方、手首の向き、腰を上げるかどうか、組み手の変化、入り方の経路は、一般に教えられている細部であり、定義上の事実ではなく指導者による確認が必要な点として示しています。練習、原因の見立て、段階の基準は、監督下の練習のためのJudo AI編集部による提案で、練習計画としての検証は行っていません。実名の柔道指導者による確認はまだ行われていません。
規則と安全の範囲:これは監督下で柔道を学ぶための解説であり、審判規程の解説書ではありません。現行規則の確認は完了していません。乱取りや試合で関節技を使う前に、現行のIJF規則と大会規則、年齢区分や段級位による制限を指導者と確認してください。どのような場面でも、参ったは即座に解く合図です。