01 / 技の概要
肩と首、そして両手で作る、腕を伸ばす関節技
腕挫腕固(うでひしぎうでがため)は、略して腕固とも呼ばれ、講道館の技名一覧では固技の中の関節技の一つです。「腕挫」は「腕をくじく」という意味で、腕を伸ばして極める関節技に共通する名前です。「腕固」は「腕で固める」という意味で、この技では何が働くのかを示しています。脚でも、膝でも、腋でもなく、取自身の両腕です。IJFの技ライブラリーは英語名を「arm lock」とし、次のように定義しています(IJFの英語の定義からの訳)。「関節技。相手の左手首を、親指側を下にして自分の肩と首の間に置き、両手で上から圧力を掛けて、肘を関節に逆らって制する」。
この一文は四つのことを定めており、このガイドではそれらを、一般に教えられているだけの事柄とは区別して扱います。受の左手首が支点となる固定点であること。その固定点を取の肩と首の間で挟むこと。腕を親指側が下になるように向けること。そして取の両手が上から肘に、関節に逆らって圧力を掛けることです。定義は、受がどこに寝ているか、取がどこに膝をつくか、取のどちらの肩で手首を受けるかは述べていません。それらは下に示す基準の形での選択であり、指導者と一緒に講道館の実演と照らし合わせて確認するとよいでしょう。
目にする呼び名:腕固、腕挫腕固、英語の「arm lock」「straight armlock」、そして一部のクラブでは単に「armbar」です。後の二つは腕挫十字固、腕挫腋固、腕挫膝固にも使われるので、記録には正式名を書いてください。腕固を、名前に同じ「固」を含む抑込技の肩固と混同しないでください。
このガイドの対象:監督下の寝技ですでに確実に抑え込むことができ、指導者から関節技を教わったことのある柔道家です。腕固は脚を振る必要がないので簡単に見えますが、圧力は両手で直接関節に掛かるため、手の速さがそのまま受の肘に掛かる負荷の速さになります。安全上の決まりは、第4項の最後にまとめて記載しています。
02 / 動画で確認
公式の形と、指導者による解説
YouTubeでこの動画を開く。埋め込みプレーヤーが使えない場合は、元の動画をご覧ください。
これは講道館とIJFアカデミーによる公式実演です。題名、公開元、公開日、長さ、公開元によるシリーズの説明(「KODOKAN × IJF ACADEMY 100 Techniques」、関節技)は確認していますが、コマ送りでの分析はしていないため、このページでは実演者の動きを記述しません。IJFの文言から直接導いた、次の四つの問いを持って見てください。
- 取の両手が届いた瞬間、受の手首はどこにあるか。すでに取の肩と首の間にあるか、まだ動いているか。
- 受の親指はどちらを向いているか。「親指側を下に」という表現と比べる。
- 取の両手はどこにあるか。肘そのものの上か、その上の上腕か、その下の前腕か。重ねているか、並べているか。
- 圧力を掛ける間、何が動かずにいるか。取の膝と腰か、取の頭か、その両方か。手だけが動く形こそ、まねるべき形です。
YouTubeでこの動画を開く。埋め込みプレーヤーが使えない場合は、元の動画をご覧ください。
公開元の説明は、腕固を十字固に代わる、腕を伸ばす関節技として紹介しています。確認したのは題名、公開元、公開日、長さ、説明文であり、内容は確認しておらず、解説者による指導上の要点をここで紹介することもしません。この動画は一つの比較のために使ってください。その指導者が選ぶ場面では、なぜ十字固より腕固が好まれるのか。答えが、膝立ちのままでいられること、抑え込みを保てること、腕が首の高さに来ることに関わるなら、下の第3項と比べます。開始位置の違いに関わるなら、指導者に相談する別の経路として記録します。
03 / 狙う場面
機会は、首まで届いてくる伸びた腕
腕固に必要なのは、まっすぐ、またはほぼまっすぐに伸びた腕で、こちらから追いかけなくても手首を自分の肩と首に持ってこられ、しかも受の体をまだ制していることです。だからこそ、最もよくある機会は下の人が押してくる場面です。受は空間を作るために、あなたの首、襟、肩へ腕を伸ばします。機会が本物かどうかは、三つの問いで決まります。腕は伸びているか。手首はすでに自分の肩にあるか、頭と肩を少し動かせば届く所にあるか。両手が肘へ向かう間、膝と胸で受がこちらへ向くのを止められるか。
横からの抑えの下から、受が首を押してくる
受の左側から横四方固や似た横の位置で抑えているとき、受の近い(左)腕が伸びて、あなたの首や顎を押しのけようとすることがよくあります。これが基準となる機会です。腕は伸び、手首はあなたの首にあり、あなたの体はすでに受のあばらの横にあります。腰や脚を動かす必要はありません。肩と首を手首の上に沈め、両手を肘へ運びます。
受が腕を突っ張って襟をつかむ
下の人があなたの襟をつかみ、腕を突っ張って距離を取ろうとする場合も、手が首の近くにある伸びた腕が差し出されます。組み手があると問題が変わります。受の手はあなたの柔道衣に固定されているので、肩と首で挟むと、手がまだ襟を持ったまま手首が挟まることがあります。その組み手のまま取り組むか、先に外すかは、指導者が決めることです。受の指をあなたの上衣から引き剥がしたり、曲げて外したりしようとしては決していけません。指の関節はこの関節技の一部ではありません。
上からの抑えの下から、受が押し上げてくる
縦四方固や上四方固から、胸や肩をまっすぐ押し上げてくる腕を挟むこともできますが、肩と首は受の横ではなく上にあり、「上から」の方向が変わり、土台も異なります。これらは指導者に教わる別の経路として扱ってください。このガイドでは説明しません。
腕固が答えにならないとき
受の肘が曲がっていると、肩と首による固定と両手の押しが働く、まっすぐなてこがありません。肘の下に空間のある曲がった遠い腕は、腕緘の機会です。伸びた腕があなたの腰のあたりを低く押している場合、手首は首に届きません。その腕は、腰を受の肩まで運べるなら十字固に向くかもしれません。受が腕を伸ばしたまま横向きやうつ伏せになっているなら、腋固の腋で挟む形の方が合うかもしれません。そして、手首を首に持ってくるには胸を浮かせて追いかけるしかないなら、抑えを保ちます。
04 / 技の仕組み
手首を固定し、肘を包み、土台を保ってから押す
腕固は、三つの接点を持つてこです。手首はあなたの肩と首で固定されます。肘はあなたの両手の下にあります。肩は、受が仰向けに寝ていること、そしてあなたの膝と胸が受の回転を止めていることで固定されます。他の二点が動かないまま肘に上から圧力を掛けると、力は関節に逆らって働きます。三点のどれかが動けば負荷も一緒に動くので、作業の順序は、固定、包む、土台の確認、そして圧力です。
定義で決まっていることと、そうでないこと:IJFが定めているのは、受の左手首を取の肩と首の間に置くこと、親指側を下にすること、取の両手で上から肘に逆らって押すことです。受の横に膝をつくこと、膝の位置、両手の重ね方、肘を引き寄せる方向は、一つの形について一般に教えられている細部であり、指導者に確認してください。
両膝を受の脇に付ける
両膝を受の左のあばらと上腕の近くにつき、胸は受の上へ少し傾けます。受の頭に近い方の膝は受の左腋の近くに置き、受が肩をこちらへ引き戻したり、こちらへ向いたりできないようにします。確認:受がこちらへ転がろうとしたとき、両手でつかまなくても、膝が受の体を受け止めるか。
肩と首で手首を挟む
受の左手首をあなたの肩の上に乗せ、頭をその肩の方へ傾けて、首の横と肩の間で手首を挟みます。挟むのは手ではなく手首です。両手はまだ使いません。確認:手を離した状態で、受が腕を引き戻して手首を抜けるか。抜けるなら挟みが閉じていないか、手首が肩の外側に寄りすぎています。
親指側を下に
IJFの文言では、受の腕を親指側が下を向くように回します。一般的な指導上の解釈では、この回旋によって肘の裏があなたの両手の方へ上がり、上からの圧力が腕を曲げるのではなく関節を横切って働くようになります。正確な回し方は指導者が決めます。確認:圧力を掛ける前に、指導者が受の親指を見ます。上や受の頭の方を向いていたら、押さずに腕を置き直します。
両手で肘を上から包む
両手を受の左肘に置きます。一般には片手をもう一方の手に重ね、手のひらを関節の裏に当てます。その上の上腕でも、その下の前腕でもありません。定義が狙っているのは肘です。確認:指導者が受の肘の先に触れます。両手がその横ではなく、その上にあるようにします。
腕はまっすぐ、線は単純に
あなたの肩の上の手首から、両手の下の肘、畳の上の受の肩まで、腕がまっすぐになっているようにします。肘が曲がると、てこはなくなり、押しても腕が折れ曲がるだけです。確認:受の頭の側から、見ている人が、始める前に腕がまっすぐかを確かめます。少しでも曲がっていれば作り直します。
手だけで、ゆっくり押す
圧力は、肩と首の挟みと両膝を動かさないまま、両手で肘を上から引き寄せるか押すことで、小さな段階を踏んで生まれます。体重を腕に乗せて押し下げたり、弾ませたりしてはいけません。確認:押している途中で指導者が「そのまま」と声を掛けます。他のどこも動かさずに、すぐ止まれるか。
解き方も技術の一部
参った(タップ)、声での「止め」、痛みの兆候があれば、まず両手の圧力を抜き、次に頭を上げて肩と首の挟みを開き、それから受の腕を下ろさせます。両手がまだ押しているのに先に頭を上げると、固定がなくなり、負荷が掛かったまま腕が落ちます。すべての反復でこの順序を練習してください。
05 / 上達のポイント
静止と順序についての五つのポイント
第4項では、それぞれの接点を一つずつ確認しました。ここでのポイントは、何かが動いている間に何が静止していなければならないかを確かめるものです。腕固の反復が崩れるのは、多くの場合ここです。1セットにつき一つのポイントを、圧力ゼロか最小限で使ってください。
腕の方から来させる
肩を下げ、頭を傾けて手首を迎えます。胸を浮かせて追いかけてはいけません。確認:見ている人は受の左の肩甲骨を見ます。あなたが手を伸ばすときにそれが畳から浮くなら、抑えを解いてしまっています。
手より先に挟む
どちらかの手が抑えの役割を離れる前に、肩と首の挟みが閉じているようにします。確認:頭を傾けたのと、一本目の手が肘へ動いたのと、どちらが先だったかを見ている人が伝えます。
「親指は下」と声に出す
押す前に、見えている回旋を口に出します。確認:言ったことが事実と一致しているか。親指が下を向いていなければ、言うべき言葉は「押す」ではなく「やり直し」です。
動くのは手だけ
圧力を掛けている間、膝、腰、頭、肩は動かしません。確認:横から撮影します。手以外の動きがあれば、負荷が体重か、ずれていく固定点から来ています。
手を離してから頭を上げる
練習した順序で解きます。確認:指導者の「解け」の声で、両手が開くまで頭が傾いたままか。
1セットの中で同じポイントが2回うまくいかなければ、第10項の第1段階に戻ります。腕固では、圧力の問題の多くは、遅れて表に出た固定や土台の問題です。
06 / 失敗の原因と修正
腕が抜ける、曲がる、違う関節に負荷が掛かる理由
最終的な結果ではなく、最初に起きた意図しない動きから原因を探ります。以下の各項目は、指導者と一緒に確かめるべき仮説です。
「押すと手首が肩から滑り落ちる」
考えられる原因:頭が傾いておらず、挟みが開いていた。手首が肩の端の方にあった。あるいは、挟みが閉じる前に押したため、圧力で手首が押し出された。
見分け方:圧力の前で止め、受に腕をそっと引き戻してもらいます。手を離した状態で滑るなら挟みの問題、押したときだけ滑るなら順序の問題です。
修正:手首をもっと首の近くに寄せ、手が動く前に頭を傾けます(ポイント2)。評価:圧力の前に同じ軽い引き戻しの確認を5回行い、手首が残った回数を数えます。
「受に肘を曲げられ、腕が折りたたまれる」
考えられる原因:手が前腕にあり、押すと関節に働かずに腕が曲がった。親指が下を向いておらず、肘が横を向いていた。あるいは、手が届く前に受が腕を曲げた。
見分け方:腕がどこで折れるかを見ます。手の下の肘で折れるなら回旋、手が肘より下にあって折れるなら手の位置、手が届く前に折れるならタイミングが考えられます。
修正:特定した原因だけを直します。受が腕を曲げたら止めます。曲がった近い腕は、この関節技の形ではありません。抑えを保ち、次に押してくるのを待ちます。評価:圧力の前に、腕がまっすぐ、親指が下、手が肘の上、という形に到達した反復の回数を数えます。
「受が肘ではなく肩に感じる」
考えられる原因:手が高すぎて上腕にあった。受の肩が畳から浮いていて、腕がてこで極められずに引っ張られていた。あるいは、腕がまっすぐ上のあなたの肩へ向かわず、受の体を横切る角度になっていた。
見分け方:圧力ゼロの状態で、指導者が手の位置と、受の肩甲骨が畳に着いているかを確認します。
修正:止めて解き、膝と固定点から作り直します。肘を「探す」ために強く押してはいけません。評価:次のセットのすべての反復で、最小限の圧力のときに、受が最初の感覚の場所を伝えます。
「受が手首に感じる」
考えられる原因:肩と首の挟みが手首ではなく手に掛かっていて、手首を曲げている。あるいは、頭を傾けたときに頭が手を後ろへ押している。
見分け方:手が曲げられる感覚か、手首の骨を横切る圧力かを受に聞きます。手が肩の上のどこにあるかを見ます。
修正:挟みを手首の位置まで上げ、保持に必要なだけ頭を傾けます。手首の関節技は腕固ではなく、この練習の一部でもありません。評価:上と同じく、感覚の場所を伝えてもらいます。
「受がこちらへ向き、関節技が消える」
考えられる原因:膝が受の脇から離れていた。手首に手を伸ばすために胸を浮かせた。あるいは、圧力の掛け始めが速く、受の回転を誘った。
見分け方:受の足の側から撮影します。腰が先に回るなら膝、肩が先に浮くなら胸、最初の圧力で回り始めるなら速さが考えられます。
修正:何よりも先に、膝を受のあばらと腋に寄せます。受が回り始めたら、決して圧力を続けてはいけません。肘はもう線から外れて回っています。評価:受は5回の反復で同じゆっくりした回転を行います。膝だけで止められた回数を数えます。
「腕は取れたが、抑え込みを失った」
考えられる原因:両手が同時に抑えの役割を離れた。肘の上に出るために高い膝立ちになった。あるいは、関節技をその攻防の終わりとして扱っている。
見分け方:毎回の試みの後、受がまだ仰向けで平らだったか、膝を動かさずに抑えに戻れたかを記録します。
修正:「受がまだ抑えられている」ことを成功の一部にします。手首に向かって体を起こすのではなく、肩を手首へ下げます。評価:1セットを通して、参ったで終わった試み、抑えを保った試み、逃げられた試みを数えます。逃げられた数が減っていくはずです。
07 / 入り方と連絡
関節技を選ぶ前に、押し方を読む
以下のそれぞれの道筋は、どの腕を待つのか、どこで関節技をあきらめるのかを示しています。これらは編集部による練習の型であり、掲載した動画の内容を説明したものではありません。
押し方を読む
横の抑えから:腕固、十字固、腕緘、または抑えを保つ
開始:受の左側からの横の抑え。相手の反応は四通り:(a)受の近い(左)腕が伸びて、あなたの首や襟を押す。(b)近い腕は伸びているが、あなたの腰のあたりを低く押す。(c)受の遠い(右)腕が曲がったまま上がってきてあなたの頭を押し、肘の下に空間がある。(d)受は両肘をしっかり締めている。次の動作:(a)はこのガイドの機会です。肩を下げ、頭を傾けて手首を挟み、それから肘を包みます。(b)は十字固の形ですが、腰を受の肩まで移す必要があります。指導者に教わったとおりにだけ行ってください。(c)は腕緘の基準となる機会です。(d)には関節技の機会がありません。抑え続けます。中止・やり直し:手が動く前にどの場合かを言えないなら、もう一回押されるまで抑えにとどまります。
関節技が失敗した後
腕固から抑えへ戻る
開始:手首を挟み、両手を肘に置いている。相手の反応:受が腕を曲げ、胸の方へ引き戻す。次の動作:腕を放し、膝はその場に置いたまま、胸を受の上に下ろして横の抑えか、指導者がその角度から教えた袈裟固に戻ります。中止・やり直し:受が横向きになっていたら、まず抑えにつなぎ直します。受が回っている間に、手で腕を追いかけてはいけません。
受が背を向ける
腕固から腋固への道筋
開始:受の伸びた左腕に取り組んでいる。相手の反応:受があなたから離れる方へ回り、右の横向きかうつ伏せになり、左腕をあなたの方へ伸ばしたままにする。次の動作:肘が回ってしまったため、肩と首による固定はもう線に合いません。指導者に教わっているなら、うつ伏せの受の伸びた腕は腋固の基準となる場面です。受の横から膝立ちで近づき、両手で手首を持ち、腋を肘の上に置きます。中止・やり直し:そうでなければ腕を放し、受について行って上からの制御に移ります。受がうつ伏せになったことで背中を見せており、それは別の課題です。
投げから関節技へ
制御した投げから横の位置、そして腕固へ
開始:すでに制御できる投げで受を仰向けに落とし、あなたは受の左側の近くにいる。相手の反応:あなたが落ち着くのを妨げようと、受が左手であなたの首を押しのける。次の動作:まず膝をつき、両膝を受のあばらに寄せます。それから初めて手首を挟み、両手を肘に運びます。中止・やり直し:まだ立っているなら、あなたはまだ立ち姿勢にいます。IJFの規則は立ち姿勢から掛けた関節技を罰しており(第11項参照)、練習でも土台が落ち着かないまま腕に負荷が掛かります。膝をつくか、腕を放してください。寝技で練習を続けるかどうかは、事前に取り決めておきます。
試みるたびに、結果のほかに二つの事実を記録します。どの場合(a〜d)だと判断したか、そして最後に受がまだ抑えられていたか。失敗の多くは、この二つの欄のどちらかに表れます。
08 / 防御と逃れ方
首をまっすぐ押さない、早めに参ったをする
どの防御も、第4項の三つの接点のどれかを取り除きます。手首の固定、まっすぐで親指が下の腕、平らな肩のいずれかです。
予防:曲げた腕で支える
横からの抑えの下では、取の首へまっすぐ押すことが機会を与えます。肘を曲げ、手ではなく前腕を取の首や肩に当てる支え方を教わっていれば、取には固定するものも、まっすぐなてこもありません。
早い段階の防御:手首を引き戻すか、肘を曲げる
取の肩と首が閉じる前に、手首を自分の胸の方へ引き戻すか肘を曲げれば、形はなくなります。手首が挟まれた後でも、取の手がまだ肘に届いていなければ、曲げることで防げる場合がありますが、別の角度からの腕緘に向いた曲がった腕が残るかもしれません。
逃れ:肘の向きを変える
うまくいく逃れは回旋に働きかけます。指導者が示すように、親指がもう下を向かないように腕を回すか、肘がもう上を向かないように体を回します。どちらも取の膝が緩んでいることが前提です。腕がまっすぐになり、手首が挟まれ、両手が押していたら、正しい判断は参ったをすることです。
取が返し技を受ける危険
肘の上に出ようとして体を起こす取は、胸を浮かせます。下の人はこちらへ向いたり、膝を戻したりできます。これが抑込技から腕固を狙う主な戦術上の代償です(第6項の問題6)。
09 / 抑込技からの移行
どの抑えから、首へまっすぐな腕が来るか
腕固に至るのは、ほとんどの場合、受が崩そうとしている抑え込みからです。この図は、まっすぐな腕が首へ来やすい場所と、それを取る間に制し続けなければならないものを示しています。学習用の図であり、確実な入り方の一覧ではありません。
| 開始する抑え | 来ることがあるまっすぐな腕 | 制し続けるべきもの |
|---|---|---|
| 横四方固 | あなたの首や襟を押す受の近い腕(基準の形) | 受のあばらと腋に付けた膝。遠い側の腰がこちらへ回れないだけ低い胸 |
| 袈裟固 | あなたの顔を押す受の自由な(遠い)腕。近い腕はすでに制している | 頭側の支配と土台。自由な腕を極めるには抑えを離れることになるので、指導者に教わる経路として扱う |
| 崩袈裟固 | あなたの顔や肩を押す自由な腕 | すでにあなたの腕の下に挟んでいる腕と、腰の接触 |
| 肩固 | まれ。近い腕はすでに抑えによって受の頭に押しつけられている | 抑えそのもの。その腕はすでに制している |
| 縦四方固 | あなたの胸や肩をまっすぐ押し上げるどちらかの腕 | 受の上に掛けた体重と脚の位置。「上から」の方向が異なる |
| 上四方固 | 下からあなたの肩を押す腕 | 頭側からの上体の圧力 |
抑えと関節技のどちらを選ぶか
腕固は、抑え込みに求めるものが最も少ない腕の関節技です。横からなら、肩を下げて両手を動かすだけで済み、膝はその場に置いておけます。そのため、押されるたびに試したくなります。代わりにこう問いかけてください。押してくる腕は本当にまっすぐか。自分の膝は本当に受に付いているか。抑えを保つことが課題の攻防では、受の腰を自由にしてしまう関節技の試みは、たとえ極まっていたとしても誤った判断です。
関節技の後
受が関節技から逃れても仰向けのままなら、あなたはまだ受の横にいます。抑えを作り直します。受があなたから離れる方へ回ってうつ伏せになったら、あなたは亀の姿勢か平らにうつ伏せた受の後ろにいます。課題は上からの制御、返し、あるいは教わっているなら前述の腋固への道筋です。受があなたとの間に膝を戻したら、やり直します。練習全体の組み方については、寝技の練習ガイドを参照してください。
10 / 段階的な練習
静止した腕から、抑えの下での判断へ
指導者が見ている前で基準を満たしたら、次の段階へ進みます。進歩とは、参ったの回数ではなく、制御、正しい選択、きれいな解き方のことです。
圧力なしで固定し、肘を包む
受は仰向けに寝て、伸ばした左腕の手首を取の肩に置きます。取は膝、挟み、回旋、手を圧力なしで作ります。受は、ゆっくりした引き戻し、曲げ、取の方への回転をそれぞれ試します。基準:取の両手がまだ肘を包んでいるだけの状態で、三つとも体の構造で止められること。
最初の合図まで、最小限の圧力
確認した形から、取は小さな段階で押します。受は最初の感覚の場所を伝えて参ったをし、取は解く順序を行います。指導者は「そのまま」と声を掛けることができます。基準:最初の感覚が常に肘であること。すべての参ったで、即座に手が離れ、それから頭が上がること。
抑えから入り、防御を一つ加える
受の左側からの横の抑えで始めます。受は伸ばした左腕で取の首を押し、取がそれを取ります。受は合意した防御を一つ選びます。肘を曲げるか、取の方へ向くかです。取はゆっくり極めるか、見送って抑えを保ちます。基準:腕が曲がったり回ったりした後に、取が一度も押さないこと。見送った試みの後は毎回、受がまだ抑えられていること。
選択を伴う位置限定の攻防
横の抑えから短い攻防を行います。下の人は逃れようとし、どちらの腕で押してもかまいません。上の人は、抑えを保つ、首に来たまっすぐな近い腕に腕固を掛ける、曲がった遠い腕に腕緘を掛ける、のいずれかを選べます。参ったか制御の喪失で攻防は終わります。基準:多くの攻防で、上の人の選択が第7項で読んだ場合と一致しており、形が失われた後に圧力を掛けていないと指導者が判断すること。
関節技を含む自由な寝技の乱取りは、第4段階の後、指導者が解く順序を信頼できると判断し、参加資格を確認してから行います。
11 / 試合での実例
二つのIJFリプレーの手がかりと、規則の背景
2026年10月14日に、IJFの技ライブラリーの二つの項目を確認しました。どちらもリプレーの手がかりです。その試合が選手の腕固のタグの下に挙がっているということであり、試合の中で何が起きたかは確認していません。
クルパレク対スニッペ、アッパーオーストリア・グランプリ2025
クルパレクの腕固を集めたIJFのページには、アッパーオーストリア・グランプリ2025での、ルカシュ・クルパレク(Lukáš Krpálek、チェコ、白)とイェレ・スニッペ(Jelle Snippe、オランダ、青)の試合がこのタグで掲載されています。同じページには、ほかに二つの試合が挙がっています。
コンウェイ対プロコペンコ、ブダペスト・グランプリ2018
サリー・コンウェイの腕固を集めたIJFのページには、ブダペスト・グランプリ2018での、サリー・コンウェイ(Sally Conway、イギリス、白)とアレナ・プロコペンコ(Alena Prokopenko、ロシア、青)の試合が、掲載された四試合の一つとして同じタグで挙がっています。
確認済み:ページの題名、大会、対戦の組み合わせ、柔道衣の色、タグ。各ページの題名は、タグ付けされた技をそこに名前のある選手によるものとしています。未確認:得点になったか、再生位置、寝技の中か移行の途中か、その前の位置、戦術。私たちは映像を見ていません。
リプレーの背景となる規則
現行のIJFスポーツ・組織規程〈SOR〉審判規則(IJFが21.01.2026版として掲載している文書)は、立ち技での関節技を寝技とは別に扱っています。第11.2条(g)は、「待て」の場面の一つとして、選手が立ち姿勢から関節技または絞技を施す、または施そうとすることを挙げ、指導を与えるとしています。第18.1.2条第29項は、受に「逃れる可能性がある」立ち技での関節技または絞技に指導を与えるとし、第18.2.2条第5項は、「負傷の危険がより高く」受に逃れる可能性がない場合に反則負け(その選手はその大会に出場を続けられない区分)を与えるとしています。したがって、立った組み手から取る腕を伸ばす関節技は、得点の手段ではなく審判の判断の問題です。過去のシーズンのリプレーは、その大会の規則を反映しています。
リプレーを見るときの問い
- 起点:受は抑え込みの下で仰向けだったか、そこから回って逃れようとしていたか、まだ立ち姿勢からの移行の途中だったか。
- 固定:取の手が肘に届いたとき、受の手首はどこにあったか。取の肩の上か、腕で挟まれていたか、手だけで持たれていたか。
- 回旋:圧力が掛かったとき、受の親指はどちらを向いていたか。
- 土台:取は膝をついていたか。取の膝は受に付いたままだったか。
- 終わり方:合図の後、動作はどれだけ早く止まったか。その後どの位置になったか。
カメラに映っていることだけに答え、それ以外は「見えない」と記入します。
12 / 変化と似た技
腕固と、その他の肘の関節技
講道館の技名一覧は、いくつかの「腕挫」の関節技を別々の技として挙げています。どれも肘を標的としますが、IJFの定義では、何が腕を固定し、何が圧力を掛けるかが異なります。
| 技 | 腕の形 | 固定するもの・圧力を掛けるもの(IJFの文言の要約) | このガイドの言い方での典型的な機会 |
|---|---|---|---|
| 腕挫腕固 | 伸ばす | 取の肩と首の間に手首。両手で上から肘を押す | 受の横に膝をついているとき、首を押してくるまっすぐな腕 |
| 腕挫十字固 | 伸ばす | 両手で手首を持つ。上腕を取の両腿で挟む | 腰を受の肩に置いて届く、まっすぐな腕 |
| 腕挫腋固 | 伸ばす | 両手で手首を持つ。取の腋の下で腕を抑える | うつ伏せか膝立ちの受の伸びた腕 |
| 腕挫膝固 | 伸ばす | 取の膝が肘を押す | その技のガイドを参照 |
| 腕緘 | 曲げる | 取の両腕で受の片腕を絡め、ひねる | 肘の下に空間のある、曲がった遠い腕 |
十字固との実際の違いは代償です。十字固では腰と脚を動かして自分も仰向けになりますが、腕固では受の横で膝立ちのままでいられます。腋固との実際の違いは受の向きです。腕固の「上から」は仰向けの受に働き、腋固の腋による抑えは畳を向いた受に働きます。三角による関節技である腕挫三角固は、講道館のもう一つの関節技で、その技のガイドで学びます。
腕固の中の変化
手首を肩と首ではなく腕や手で保持する固定の変化は、IJFの形を変えます。その結果を自分の教程でも腕固と呼ぶのかは、指導者に尋ねてください。縦四方固の上からや頭の側からといった位置の変化は、「上から」の方向と土台を変えます。立ち姿勢での応用は護身術や他の体系にありますが、IJFの柔道では立ち姿勢からの関節技は規則の問題であり(第11項)、このガイドでは教えません。どの変化でも、手首が固定された状態で、まっすぐな肘に上から圧力が届いていないなら、おそらく別の技です。
13 / 次の練習課題
1回の練習で:手より先に挟む
課題:指導者の了承を得て、段階練習の第3段階を行います。受の左側からの横の抑えで、受はまっすぐ伸ばした左腕であなたの首を押し、その後、肘を曲げるか、あなたの方へ向くかを選びます。圧力を掛ける場合は、ゆっくり掛け、最初の参ったで止めます。
- 場面
- 受の左側からの横の抑え。受はまっすぐ伸ばした左腕でこちらの首を押してくる。
- 自分の重点
- どちらかの手が動く前に肩と首の挟みを閉じる。膝は受に付けておく。
- 気づいたこと
- 胸を浮かせたか。親指は下を向いていたか。受はどの防御を選び、自分は止まれたか。
- 指導者への質問
- 「腕が抜けるのは、挟み、手の位置、膝のどれが原因ですか」
- 次の判断
- 同じ課題を続けるか、圧力なしの固定と包みに戻るか、腕緘の場合を加えるか。
振り返りの記録例
説明用の架空の例(実測したユーザーデータではありません):「押されたのは10回で、そのうちまっすぐな腕は7回。挟めたのは6回。そのうち2回は、頭を傾ける前に手が肘へ行き、受に手首を抜かれた。1回は、自分が膝立ちで体を起こしたときに受がこちらへ向き、まだ押していたので指導者に止められた。次の練習では、頭が先、手は後、そして低い姿勢を保つ」。
この記録は、回数、指導者の観察、次の変更を分けて書き、安全のための中止も情報として残しています。練習記録テンプレートやJudo AIに保存しておけば、次の練習を新しい技からではなく、挟みから始められます。
14 / 出典とレビュー
出典・執筆・確認状況
- 講道館:柔道の技の名称:正式名称と関節技としての分類。
- IJF:腕固の定義と技ライブラリー:第1項で引用した定義と「arm lock」という英語名。2026年10月14日に確認。
- 講道館:腕挫腕固の公式実演とシンタロウ・ヒガシ:もう一つの柔道の腕の関節技、腕固:同一性、公開元、公開日、長さ、公開元の説明を確認(YouTubeのoEmbedとプレーヤーのデータ)。書き起こしや場面ごとの分析はしていません。
- IJFのリプレー一覧:クルパレクとコンウェイ。一覧とタグのみを確認。
- IJF審判委員会の文書:21.01.2026版として掲載されたIJFスポーツ・組織規程〈SOR〉審判規則。第11.2条(g)、第18.1.2条第29項、第18.2.2条第5項を2026年10月14日に確認。
執筆:Judo AI · 英語版編集確認:2026年10月14日 · 日本語版編集確認:2026年10月15日。要点(受の左手首を取の肩と首の間に置くこと、親指側を下にすること、両手で上から肘を押すこと)はIJFの定義に基づいています。受の横に膝をつくこと、膝の置き方、両手の重ね方、「親指側を下に」の解釈、解く順序は、一般に教えられている練習についての編集上の解釈であり、講道館の実演と照らし合わせた指導者の確認が必要な点として示しています。練習、原因の見立て、段階の基準は、監督下の練習のためのJudo AI編集部による提案で、練習計画としての検証は行っていません。実名の柔道指導者による確認はまだ行われていません。
規則と安全の範囲:これは監督下で柔道を学ぶための解説であり、審判規程の解説書ではありません。第11項で引用した規則の条項は、上記のIJFの文書を要約したものです。審判はそれを個々の動作に当てはめて判断し、国内、少年・少女、各大会の規則は異なる場合があります。そのIJFの文書には、カデに特有の関節技の規定は見当たらず、国内の規則は確認していません。乱取りや試合で関節技を使う前に、年齢区分や段級位による制限を指導者と確認してください。どのような場面でも、参ったは即座に解く合図です。